TROUBLE

【肌悩み研究】

乾燥

「乾燥」の原因

乾燥の原因としてまずあげられるのは、皮脂の分泌量が減少すること。思春期といわれる10代後半~20代前半を過ぎると、皮脂量は年齢が上がるにつれて少なくなっていきます。皮脂が少なくなると、汗と混ざり合ってできる天然のクリームのような皮脂膜が形成できず、表皮の水分の蒸発を防ぐ力が弱まります。皮脂量は個人差があるので、年齢が高くてテカる人もいれば若くても少ない人がいます。ですが、加齢によりその人なりに減少していくのです。
角層内部では、水分を抱えているNMF(天然保湿因子:ナチュラルモイスチュアライジングファクター)と呼ばれる自然の保湿因子や、セラミドに代表される細胞間脂質が減少し、肌に水分を留めておく力が弱まります。セラミドは年齢と共に生産量が減少し、20代では20%はあった角層の水分も、40代になると10%ほどまで少なくなるとも言われています。
さらに、真皮の中ではコラーゲンやエラスチン繊維といった繊維成分の減少と共に、これらの間を埋めている、ヒアルロン酸などのムコ多糖類の水分を抱えた成分も激減します。

肌が健やかな状態でいるために、角層は肌の水分を外へ逃さない役割りや、外的刺激をブロックするバリアの働きをしています。ですが、加齢、紫外線、活性酸素、血行不良、気温の変化、刺激の繰り返しなどが原因で、肌細胞がダメージを受け、うるおいを保持する力がなくなってくると、肌の乾燥が起こるのです

TEWLの増加に注意をする

十分にうるおいを与えても肌の乾燥が解消されないとしたら、血行不良や、誤ったスキンケアなどが原因で皮脂の分泌が低下したり、TEWL(Trans Epidermal Water Loss:経表皮水分蒸散量)が増加してしまってバリア機能が低下している可能性があります
TEWLとは、体内から無自覚のうちに角層を通じて揮散する水分量のことで、体温上昇、運動及び精神的刺激などによって汗腺から分泌される汗とは区別されます。正常な状態でも経表皮水分蒸散はあり、これがバリア機能を反映する指標として用いられます。
肌荒れや乾燥が進むとTEWLの増加が観察されます。この事から、皮膚が潤いを保てない状態に陥り、角層のバリア機能が低下していることが想像できます。
その結果、TEWLが増加した肌は、肌荒れや乾燥しやすい状態になっていると考えられます。

目の周りや口の周りは特に乾燥しやすい

特に目の周りや口の周りなど、元々皮脂腺や汗腺の少ないところは皮脂膜もできにくく、乾燥しやすくなります
皮膚が薄く動きの激しい目元は、乾燥で表面に細かなちりめんじわができやすく、乾いた状態が続くと小じわが徐々に深く刻まれていき、表情を戻しても残るしわになってしまいます。
また、口の周りは大きな筋肉が取り囲んでいて動きが激しいので、加齢による皮下組織、筋肉の衰えに加え、乾燥した状態が続くと口角の横に縦じわが出現してきます。
乾燥してターンオーバーが不調な時には、頬の一部や全体に粉をふいたような状態が見られることもあるのです

様々な肌悩みは乾燥が大元

乾燥はしわやたるみに繋がるだけではなく、敏感な肌状態に繋がってしまうことがあるため、見逃せないサインです。乾燥から角層のバリア機能が不完全になると、外からの異物が侵入しやすくなります。そして異物の侵入によって、本来真皮の中だけにある神経末端が表皮まで伸張することもあり、かゆみや肌荒れなどのトラブルを引き起こし、過敏な肌状態を形成するのです。
このバリア機能が弱い状態が続くと、内側からの水分がいっそう蒸発してしまい、ターンオーバーも乱れ、乾燥がなかなか解消されないという状態に陥ってしまいます

「乾燥」に強い肌を作るのは丁寧な「保湿」ケア

乾燥肌のスキンケアは、ハイブリッドクレンジングのような洗浄力の強すぎないメイク落としや、クレイ洗顔料を選ぶこと、そして刺激や摩擦を避けて保湿を徹底することがポイントです
こする、たたくなどの刺激を肌に与えないことはもちろん、洗顔のすすぎに強いシャワーを直接顔に当てることも、肌状態によっては刺激になってしまいます。洗顔後の肌は皮脂膜が汚れと一緒に取れ、水分がどんどん逃げやすい状態です。タオルで水気を取ったら、肌が湿っているうちに早目に化粧水をつけてスキンケアを開始しましょう。
化粧水の後は、角層をしなやかで柔らかい状態に保つスキンケアを優先します。また、セラミドやヒアルロン酸やペプチドなどの保湿成分や肌の水分保持力を高める成分、あるいはこれらの成分を合わせた「QuSome®アクティベートコンプレックス」のような複合成分を含む美容液や乳液を取り入れると良いでしょう。
そして肌の中の水分が蒸散し続けないように、クリームなどで肌を守りながら、バリア機能を立て直すことも急務です